シカゴ在住のミュージシャン青木達幸は2017年、アメリカ合衆国における日本文化の普及への功績を認められ、外務大臣表彰を受けた。青木が芸術監督をつとめる司太鼓には子供も含めて50人以上の奏者が在籍しており、アメリカ中西部に数ある和太鼓グループの中でも精力的でユニークな活動を行っている。
1996年、シカゴの若柳流司友会 (日本舞踊) で太鼓奏者の吉橋英律が小規模の太鼓教室を始めるにあたり名付けたのが『司太鼓』である。吉橋は夏祭りなど伝統的な日系イベントで演奏する一方、青木達幸が設立した前衛ジャズ集団アジアン・インプルーブ・アーツ・ミッドウェスト Asian Improve aRts Midwest (AIRMW) とも2001年から共演するようになった。
生粋の江戸っ子で三味線と太鼓の名手である青木が司太鼓の総監督に就任し、2004年に道場をシカゴ日系定住者会 Japanese American Service Committee に移転して以来、司太鼓は活動の場を広げており、毎年11月の感謝祭パレードではシカゴの日系コミュニティ代表としてステート・ストリート State Street で演奏を披露している。
12月にシカゴ現代美術館ホールで行われる司太鼓の定期公演『太鼓レガシー』と『リダクション』は音楽ファンの注目を集めるイベントで、多彩なゲストとの共演が見どころ。司太鼓の創立23周年を記念する今回は、日本から立花志十郎、フランスから大島祐子が参加、国際的に活躍する顔ぶれが揃った。
立花は国立劇場の養成所で学んだ歌舞伎俳優で、日本舞踊の立花流師範である。フリーとして舞台に出演するほか、NPO 法人『伝統文化みらい塾』の代表として日本各地の地芝居 (素人歌舞伎) や子ども歌舞伎の指導に携わり、日本の伝統芸能である歌舞伎の普及に努めている。8日には歌舞伎と音楽についてワークショップを開く。
大島は即興演奏を得意とするドラマーで作曲も行う。2000年にフランスに移住、ヨーローッパを拠点に活動している。フランス人ピアニスト、エヴ・リセール Eve Risser とのデュオ『ドンキー・モンキー Donkey Monkey』、シカゴ在住のアメリカ人ドラマー、ハミッド・ドレイク Hamid Drake とのドラムデュオなどコラボレーションも多い。
16回目を迎えた『太鼓レガシー』では豪快な組太鼓、篠笛や三味線の演奏に優雅な日本舞踊が加わり、伝統芸能の美しさを引き出す。一方、今年で7回目となる『リダクション』ではジャズや歌舞伎とのコラボレーションを行い、前衛的なステージを展開する。『リダクション』は青木が1970年代に東京で参加していた太鼓演劇集団『銀天界』の美学を再現するもの。
『太鼓レガシー 16 Taiko Legacy 16 』12月8日(日) 午後2時開演
出演:青木達幸、司太鼓、立花志十郎 (鳴り物、踊り) 、稀音家千鶴 (三味線) 、福原百恭 (篠笛) 、メロディ・タカタ Melody Takata (太鼓) 、源流アーツ (太鼓) 、青木希音 (太鼓)
『リダクション 7 銀天レガシー Reduction The Ginten Legacy 』12月7日(土) 午後7時30分開演
出演:青木達幸、司太鼓、立花志十郎 (鳴り物、踊り) 、稀音家千鶴 (三味線) 、福原百恭 (篠笛) 、大島祐子 (ドラム) 、ジョヴィア・アームストロング JoVia Armstrong (ドラムス) 、ハミッド・ドレイク Hamid Drake (パーカッション) 、ココ・エリーゼス Coco Elysses (パーカッション) 、ニコール・ミッチェル Nicole Mitchell (フルート)
『歌舞伎音楽ワークショップ Kabuki Music Workshop 』12月8日(日) 午後5時30分開始
指導:立花志十郎 、青木達幸、稀音家千鶴、福原百恭、藤間郁之丞ほか
◎会場
シカゴ現代美術館
Museum of Contemporary Art (MCA) Chicago
Edlis Neeson Theater
220 East Chicago Avenue, Chicago, IL 60611
(312) 397 - 4010
◎料金とチケット購入
・太鼓レガシー 16 Tsukasa Taiko: Taiko Legacy 16
一般 $20、シニア・子供12歳未満 $15
注)当日は混雑が予想されるため前売券の購入が望ましい。
・リダクション 7 銀天レガシー Reduction 7 The Ginten Legacy
一般 $20、シニア・子供12歳未満 $15
注)当日は混雑が予想されるため前売券の購入が望ましい。
・歌舞伎音楽ワークショップ Kabuki Music Workshop
参加費 $25
◎公式サイト
Taiko Legacy
(文責:斉藤博子 Text by Hiroko Saito )
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