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  • 執筆者の写真Chicago Samurai

北米最古の野外コンサートシリーズ「Ravinia Festival」で、この夏最高の思い出を。

更新日:2018年8月13日


Photo /courtesy of Ravinia Festival

 音楽の町シカゴにとって、夏はまさにピーク・シーズン。ダウンタウンのランドマーク、ミレニアム・パークでは、毎日のようにブルース、ゴスペル、ジャズ、クラシックにダンス・・とあらゆる種類の音楽が奏でられ、町行く人々に生きる楽しみと安らぎを与えてくれる。 しかし、ミレニアム・パークが誕生するはるか昔から100年以上も続いている野外音楽祭があるのをご存知だろうか?その名は「ラビニア・フェスティバル(Ravinia Festival)」。シカゴ市内から40キロほど北の閑静な住宅街、ハイランド・パーク市内にある「ラビニア・パーク(Ravinia Park)」の野外ステージで、6月から9月半ばまで延々と3ヶ月半の間、ほぼ毎日行われているコンサートシリーズだ。

 ラビニア・フェスティバルの歴史は、1904年にまでさかのぼる。当時開通したばかりのシカゴ~ミルウォーキー間の鉄道を人々にもっと利用してもらおうと、鉄道会社のA.C. Frost Companyがアミューズメント・パークを作り上げた。

(C)Ravinia Festival

 東京ドーム3個がすっぽり入る広大な園内には、野球場のほか噴水や大食堂、カジノ、ダンスフロアーなどを配し、中でもプレイリー・スタイルの「マーティン・シアター(ラビニア・シアター)」は当時から現存する最古の建物として知られる。



(写真)開通当初のハイランド・パーク駅 

(C)Ravinia Festival

 初回のラビニア・フェスティバルが開かれたのは1905年。最初に演奏された曲目は、ジャズの名曲"Bill Bailey, Won't You Please Come Home"だった。以来、戦争や大恐慌など幾度かの苦難を乗り越え、当フェスティバルは北アメリカで最も歴史の古い野外音楽フェスティバルとして人々に愛され続けているのだ。ちなみに、初代の音楽監督はあの小澤征爾氏が務めた(1964~1968)。

(左)ウォルター・ダムロッシュ(Walter Damrosch)指揮によるニューヨーク・シンフォニー・ソサイアティー(1905) 

(右)シカゴシンフォニーを指揮する小澤征爾氏 (C)Ravinia Festival


ラビニアの魅力  ラビニア・フェスティバルの最大の特徴は、バラエティ豊かな演目だ。1シーズンに140を超えるコンサートは、クラッシック、オペラ、ロック、R&B、レゲエ、ジャズ、ブルース、ポップス、ダンスなど、ありとあらゆるジャンルを網羅している。過去に出演したアーティストの中にはルイ・アームストロングやジョージ・ガーシュイン、エラ・フィッツジェラルド、ルチアーノ・パバロッティー、ジャニス・ジョプリンなども名を連ねる。

 そして昨今一番の目玉となったのが、2016年6月に行われたベテランジャズシンガー、トニー・ベネットと、ポップスター、レディー・ガガの異色デュオ。2015年に発表して話題をさらったグラミー賞受賞アルバム(Best Traditional Pop Vocal Album)『Cheek to Cheek』を引っ提げての“初ラビニア”にファンは騒然。ラビニア広報担当のケヴィンさんによると、「このショーのチケットは、ラビニア史上最速で完売した」そうだ。


(C)Ravinia Festival | Russell Jenkins

トニー・ベネットとレディー・ガガの公演は歴史的なチケットセールスを記録 (C)Ravinia Festival | Russell Jenkins






 ラビニアは地元の人々のみならずアーティストにも愛されており、毎年ここに戻ってくるアーティストも多く、トニー・ベネットもその一人。また、シカゴで長年 “ブルースの女王”故ココ・テイラーのバンドメンバーとして活躍してきたブルースギタリストの菊田俊介(Shun Kikuta)氏も、「ラビニアは(ココのバンドで2003年に)一度出ましたが、世界でも大好きな野外ホールの一つです」と語る。ミュージシャンにとっても、自然の中で奏でる音楽の心地よさや、純粋にオーディエンスとの一体感を楽しむことのできる稀有な場所なのだろう。  また、リーズナブルなチケット価格も魅力だ。通常のコンサート会場では確実に100ドル以上はするチケットも、ラビニアの芝生席でなら50ドル以下で買うことができる($5~$49)ので、1シーズンに何度も足を運ぶことができる。


(C) Ravinia Festival | Patrick Gipson

(C) Ravinia Festival | Patrick Gipson

”クィーン・オブ・ソウル”アレサ・フランクリンのステージ。パビリオン、芝生席ともに超満員だった。芝生席には巨大スクリーンも設置されており49ドルで楽しめる。

 ラビニアが愛される最大の理由がもうひとつ。それは、芝生席でピクニックを楽しめることだ。アメリカでは公共の場所での飲酒は硬く禁じられていることが多いが、このフェスティバルは例外。人々はそれぞれ趣向を凝らしたピクニックメニューや飲み物、テーブルやチェアー、ピクニックシートなどはもちろん、日が暮れたあとのためのキャンドルやテーブルに飾るお花まで、何から何まで用意万端整えてこの日を迎える。私が最初にラビニアを訪れたときは、開場を待つ人たちの荷物の多さに度肝を抜かれ、あまりにも手薄だった自分がみじめになったくらいだ。


ここで誕生パーティーや結婚パーティーをする人も。芝生席はまるで「屋外巨大セルフサービスレストラン」と化す。

日没後はキャンドルの灯りが幻想的


「ラビニアは遠いから」と敬遠するのはもったいない。行き方はいたって簡単.。シカゴ(Ogilvie駅)からメトラのUnion Pacific North ライン(Kenosha行き)に乗って約40分、Highland Park駅下車。目の前が会場のエントランスだ。フェスティバル当日は増便もあるので帰りもラクラク。

 あっという間に終わってしまうシカゴの夏。この夏こそぜひ、この歴史あるラビニア・フェスティバルを体験し、100年の歴史を肌で感じてみよう。9月半ばまで。

■ラビニア・フェスティバル情報 Webサイト: www.Ravinia.org

公演スケジュール:http://www.ravinia.org/Calendar

場所: 200 Ravinia Park Rd, Highland Park, IL 60035 行き方:http://www.ravinia.org/Page/Directions

●初めての方へ(動画) http://www.ravinia.org/Page/FirstTimers



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