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執筆者の写真Chicago Samurai

ローカルな町のローカルな夏祭りに、本当のアメリカを見た。第31回 Naperville Ribfest(07/04~07/2018)

更新日:2018年8月13日



2018 Ribfest @Naperville, IL

”肉と、音楽と、子どものための祭典”

シカゴ市内から車で約40分ほど西部にあるNaperville市(ネイパーヴィル)は、”アメリカで住みたい街”の常に上位に選ばれる人気の郊外の街。この街で30年続く知る日ぞ知るお祭り、それが”リブフェス(Ribfest)”だ。


アメリカ各州選りすぐりのBBQレストラン11店舗が巨大屋台を広げ、4日間にわたって延々と肉を焼き続け、食い続ける。各店から煙とともに漂ってくるBBQソースの焼ける匂いこそ「アメリカ中西部の匂い」なのだ。



もともとはローカルな祭りだったこのリブフェス、昨今では豪華なゲストミュージシャンの顔ぶれですっかり州外にも名をとどろかせ、「これをお目当てに州外や国外からも客が押し寄せるほどになりました」と、主催者のMary Howenstineさんは言う。


とはいえ、「コンサートが目当てではなく早い時間に家族と楽しみたい」という人には”ファミリー価格”も設定されており、7月4日の独立記念日の花火大会を見る人のために5時以降の入場は無料開放するなど、ひたすらローカル色を忘れない。



「It's about Kids(イッツ・アバウト・キッズ)」

リブフェスのキャッチフレーズ「It's about Kids(イッツ・アバウト・キッズ)」は31年間変わらない当フェスの社会貢献姿勢。イベントの収益はすべて、子どもの虐待や家庭内暴力撲滅の運動基金へと寄付されており、これまでに1600万ドル(約20億円)が寄付された。すべては子供たちのために!


フィールドの端から端までお国自慢のBBQレストランが軒を連ねる、「リブ・ロウ」。

各店は店先にトロフィーを並べて受賞歴自慢大会。数ある名店のなかから、メンフィスの「JUST NORTH OF MEMPHIS」を選んで食らいつく。13ドルのお得セットでおなかいっぱいに。



個人的な話をすると、私はこの会場の近くに住んでいるので数年前に一度行ってみたことがあった。その時のお目当ては、GFR(グランド・ファンク・レイルロード)という、ロック・バンド。たしか入場料は当時15ドルだったが、たったそれだけで日がな一日遊べて、おまけにこんなすごいパフォーマーが目の前で歌ってくれることに驚愕した記憶がある。

ホンモノのロックを聴きながら大人はビール片手にシャウトし、子どもたちはそこらじゅうで走り回るのだ。

アメリカのローカル夏祭り、恐るべし。


さて、2018年の主なミュージックゲストは、Stray Cats, メリッサ・エスリッジ、Pitbull、Chris Jason、Jordan Davis、Jake Owen、とあらゆる年代層を意識したラインナップ。そして大トリは・・・・


スティ-ブン・タイラー、降臨。

今年のリブフェスを締めくくるのは、スティ-ブン・タイラー。

「エアロ・スミス」のヴォーカル、のみならずソロでもアメリカツアー中のバリバリの70歳が、ついにこのリブフェスにやってくるとあって、昨年からシカゴはざわめいていた。


スティーブンの前を務めたのは、シカゴ(北部のウィーリング市)出身のハーリー・レインハート(Haley Reinhart)。

スティーブンが初めてジャッジを務めたアメリカン・アイドル、”シーズン9”のTop3アーティストで、当時若干19歳の彼女がジャズ、ブルース、ロック、ソウル、カントリー、オールディーズとすべてを歌いこなしていたのを思い出す。

9年後に、リブフェスでスティーブンのステージを温めることを彼女は予想していただろうか?

(実は出演予定だった「The Childhood Band」が直前キャンセルになったため、急遽彼女の出演が決まったそうだ。そんなことを全く感じさせない堂々のステージにプロ根性を見た!)



彼女のステージが終わるとすでに、会場はスティーブンを待ちわびた人々で埋め尽くされていた。豊満な胸をわざと半分あらわにし、金髪をなびかせた女性たちがあっという間に前に集まってきた。

50代と思しき女性はすでにろれつのまわらない口調で「あなたなら知ってるんでしょ?スティーブンはこっち(右サイド)から出てくるって。い~い?彼が出てきたらTシャツ

をめくっておっぱい出すのよ。ふへへへ」と不敵な笑いを浴びせてきた。

そうこうしているうちに、ステージには・・・

スティーブン・タイラー降臨!


the Loving Mary Bandを引き連れて、縦横無尽にシャウトしまくる。いったいどこまで声が出るのだろう、この人は。


アンコールの”Walk This Way”で、カメラ越し目線を送られてドキリ。

ハーレイのバンドも客席からステーブンにかじりつく。

(右)ハーリーのバンドメンバーも客席でスティーブンにかじりつく





アメリカのアメリカたるゆえんは、大都会ではなくむしろこんな田舎の夏祭りにスティーブン・タイラーのような御仁が惜しげもなくやってきて、全力で歌ってくれたりする光景なのだろう。呼んだRibFestがすごいのか、やってきたスティーブン・タイラーがえらいのか。いずれにしても、「ザ・アメリカ」「ザ・ミッドウェスト」を体験するなら是非、このリブフェスを、来年以降はチェックしてほしい。


(Text/Photo : SHOKO NAGANO)


●Naperville Ribfest (通称:リブフェス)

詳細はこちら

http://www.ribfest.net/


会場: Knoch Park, 724 S West St, Naperville, IL 60540

会場へは付近の駐車場5か所から15分おきにシャトルが運行している。



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